病気やケガの診断や治療・予防などに用いられる医療機器と美容効果に期待できる美容機器には決定的な違いがあります。医師が施術をおこなう美容クリニックとエステティシャンがトリートメント(フェイス、ボディ)をおこなうエステサロンが異なるのと同様です。ここでは、プラズマについて掘り下げていきます。そして、さまざまある機器の中でも代表的な、プラズマ医療機器の特徴について紹介しましょう。
プラズマが身体の構造や機能に影響を与えるか
プラズマに限らず、医療機器には法律で定められた定義があります。それは、人もしくは動物の疾病の診断、治療、予防に使用されることです。人もしくは動物の身体の構造や機能に、影響をおよぼすことが目的の機器が医療機器とされています。製造や販売に関しても、法制で規制されているのが医療機器の特徴です。
これに対してエステティックで導入している美容機器(痩身機器、美顔器など)は、肌を含む身体の構造や機能に影響を与えない機器を指します。あくまでも定義としてということですから、実際に美顔器を使用して身体に全く影響がないとは限りません。ただし、美容を目的とする機器として医療機器とは違うタイプとして区別されています。その効果は、自宅などで洗顔や化粧品(美容液等)を塗る動作の代用程度の製品という定義です。
医療機器は高い効果を得られ、有効な反面、副作用のリスクを伴うのが難点です。美容機器は、副作用などのリスクが少ない反面、医療機器より効果が低いと認識されがちでしょう。しかし最近では、医療機器に近い機能を持つエステ専用美顔器も開発されており、人気もあります。そして安全性を確保しつつも高い効果を期待できるというメリットがあります。
医療機器と美容機器では、広告表記にも法律上の違いがあります。医療機器は、事実に基づく効果効能であれば標ぼうが可能です。一方、エステ美容機器はそもそも身体の構造や機能に影響を与える機器ではないため、そのような効果があるとの標ぼうが禁じられています。また、医療機器、美容機器はお悩み別で用途が異なり、価格帯も違うものになっています。
※メーカーによっては商品購入前にお客様に実際に体験してもらうため、本体等(概要書、説明書等詳細がわかる関連の物)の無料レンタルをおすすめしています。ハリ、引き締め具合、乾燥、浸透具合など様々な情報を事前に確認できるので安心という声があります。
医療機器 | 美容機器 | |
---|---|---|
人体への影響 | あり | 可能性は低い |
副作用 | 可能性あり | 可能性は低い |
広告表記 | 事実に基づく効果なら標ぼう可 | 標ぼう不可 |
人体への危険度によってクラス分けされている医療機器
医療機器は、人体に影響をおよぼす危険度に応じて、国際基準ルールを基本とするクラス分類がされています。日本では、厚生労働省が法律に基づいて医療機器を分類。クラスⅠからクラスⅣまでの分類は、危険度のレベルを把握するのに役立ちます。以下に、各クラスの危険度や具体的な医療機器例を紹介しましょう。
クラスI(一般医療機器)
万が一不具合が生じても、人体への危険度は極めて低いと考えられているのがクラスⅠの医療機器です。具体例は、体外診断用機器・メス・ピンセット・X線フィルム・歯科技工用用品などがあげられますが、危険度が低いかどうかは使用方法にもよる可能性があります。
クラスⅡ(管理医療機器)
万が一不具合が生じた場合でも、人体への危険度は比較的低いと考えられているのがクラスⅡの医療機器です。歯科用合金・消火器用カテーテル・内視鏡・MRI・X線CT・超音波診断装置・補聴器・電子血圧計・電子体温計・コンドームなどがあげられます。クラスⅢより危険度が低いことから、多くの治療シーンで用いられているのが特徴です。
クラスⅢ(高度管理医療機器)
万が一不具合が生じた場合の人体へのリスクが、比較的高いとされているのがクラスⅢの医療機器。たとえば、人工骨・金属製の縫合糸・歯科用インプラント材・透析器・人工呼吸器・自己血糖測定装置・コンタクトレンズなどです。クラスⅣより多くの人が日常的に使用している医療機器が多数あります。
クラスIV(高度管理医療機器)
最も危険度が高く、万が一不具合が生じた場合には生命の危険に直結する恐れがある医療機器です。具体的には、心臓のペースメーカーや体内用の除細動器、人工心臓弁、ステントや体内に植え込んだり留置する機器などがあります。
半永久的な効果か対処ケアか
医療機器と美容機器には、半永久的な効果を得られるか対処的なケアかという違いもあります。美顔器が洗顔や化粧品を塗るような作用であるのに対して、医療機器は身体の構造や機能に影響を与えることができるため、一時的なケアに留まらない半永久的な効果が期待できるのです。
ただし、医療機器に期待できる効果も万全とは限りません。治療によっていったん症状が改善しても、長い時間とともに再び発症する可能性もあります。そのため、効果は半永久的とされています。
プラズマ医療機器の代表的な種類
プラズマ医療機器は、様々な種類があります。ここでは最新のプラズマ医療用美顔器として各メーカーが開発を進めています。代表的なプラズマ医療機器を3つ紹介します。
ネオジェンスパ
ネオジェンスパ(Neo Gen SPA)は、窒素ガスをプラズマ状にして噴射するプラズマ医療機器(美顔器)です。照射されたプラズマは、表皮から真皮の浅い層にまで作用します。これにより、滞っていたメラニンの排出やターンオーバーが促進され、ピーリング効果やくすみ改善効果が期待できます。また、悪化したニキビや重症のアトピー性皮膚炎などにも効果を発揮し、キメの整った健康的な肌になれるのがメリットです。
プラズマのネオジェンスパが光治療やレーザー治療と異なるのは、肌のメラニン質に反応しないという点です。日焼けした肌や色黒の肌の方でも治療を受けることが可能で、さらには目の周辺のようなデリケートで細かい構造の部分にも照射できます。
小じわや毛穴の開きのような美肌治療にも効果を発揮するプラズマ医療機器ネオジェンスパは、顔全体への治療に使用可能。よく似た医療機器にレーザーを利用したフォトフェイシャルがありますが、フォトフェイシャルが1回の治療では十分な効果を得にくいのに対して、ネオジェンスパの治療では1回でも劇的な効果が発揮されます。痛みやダウンタイムがないのも特徴的です。
プラズマbt
プラズマbt(plasma bt)は、TDDS・肌色調節効果・滅菌・皮膚再生と大きく4つの効果のポイントをあげられます医療用美顔器です。TDDSは経皮吸収型ドラッグデリバリーシステム(Transdermal Drug Delivery System)の略で、皮膚細胞を結び付けている細胞接着分子(CAMs)を切断して驚異的な吸収力をもたらす機能です。プラズマは美容成分を肌の奥まで届けるのに役立ちます。
肌色調節効果は、メラニン色素を抑制して抗色素沈着化粧品を吸収力を高める機能です。滅菌は、細菌の分子構造を切断することにより実現します。プラズマbtには強力な滅菌作用があり、さまざまな皮膚トラブルの原因となる細菌を死滅させることが可能です。
プラズマbtには、線維芽細胞を刺激することによりコラーゲンの生成を促す働きもあります。細胞組織のイオンバランスを調整し、皮膚の弾力を向上させる力があるため、肌再生に役立ちます。
ポートレートプラズマ
ポートレートプラズマ(Portrait Prasma)は、窒素プラズマを照射することでダメージを取り除き、皮膚深部にある真皮層を活性化することができるプラズマ医療機器(美顔器)です。特に難治性ニキビやニキビ跡の治療に高い効果を発揮し、生まれたてのような肌に再生することができます。
ポートレートプラズマによってプラズマが照射されると、ダメージを受けた肌表面が破壊されます。同時に真皮層が活性化されることから、肌再生が促されます。ダメージを受けた皮膚がすぐに剥がれ落ちてしまうと新しい皮膚がむき出しになってしまいますが、剥がれ落ちずにしばらくその場にとどまった皮膚がバリアとなって新しい皮膚を外敵から守ってくれるのも特徴です。
最終的には古い皮膚は剥がれ落ちますが、新しい皮膚にダメージを与えずにトラブルを取り除く作用は、従来の機器では難しかったこと。ケミカルピーリングやレーザー治療でも肌トラブルが改善しなかったという方には、試してみる価値のある美顔器です。
医療現場や美容業界で増加傾向にあるプラズマを利用した医療機器。プラズマ美容機器はとくに美顔器として導入・注目されており、2019年以降、今後もプラズマはさらなる技術開発が進むと予想され、その動向が注目されます。