プラズマ医療に関するニュースまとめ

医療界のみならず、電化製品などでもプラズマエネルギーは注目を浴びています。世界中で研究が進められているプラズマエネルギーについて、画期的なニュースが飛び込む日も増えてきています。そこでここでは、プラズマ医療に関するニュースをまとめてみました。

国内初の皮膚の改質・再生に有効なプラズマ照射装置の開発に成功

東京都内の大学工学部医用工学科研究グループと神奈川県のプラズマ装置開発会社が協力し、医療・美容分野で使用できる大気圧プラズマ照射装置が開発されました。皮膚の改質や再生に有効な装置で、照射にさまざまな条件を設定できるのが特徴です。

 

開発されたプラズマ照射装置は、対象者の肌質や疾患の症状に応じて照射条件を変更できます。プラズマの密度・強度・時間・距離・粒子の種類・配分などを調整できることから、より細かい部分にこだわった治療が可能です。生体への刺激も少なく、皮膚の深い層から細胞代謝を活性化させることができるため、表皮の自然再生につながります。

 

医療・美容目的としてプラズマ照射装置が開発されたのは、日本国内では今回が初めて。2022年の製品化を目指して、臨床試験をおこなうといいます。国内でもプラズマ治療は注目されていますが、外国製の装置導入が始まって間もないのが現状です。照射内容も固定的で、メンテナンスを海外に依存しなければならないのは不自由なのがデメリット。今回の国産プラズマ装置開発は、業界からのニーズにも応えた形となります。

 

プラズマ医療は、人の細胞に直接影響を与えるプラズマエネルギーを利用。患者への肉体的負担が少なく、皮膚疾患に対して次世代の革新的治療がおこなえると注目されています。レーザー治療の代替としても期待が寄せられ、商品化されればレーザー治療によるダメージを心配する必要もなくなります。

 

プラズマ照射装置の実用化に向けては、今後の研究推進と成果の事業化に向けて活動がおこなわれています。プラズマ治療装置の使用者となる医師や患者および関係者との情報交換や啓発活動が、主な活動内容です。

参考:https://www.tcu.ac.jp/news/newsrelease/20170628-9304/

プラズマ方式・水銀フリー深紫外線面光源の出力を4倍に向上

プラズマ発光デバイス技術を用いた製品の開発・製造をおこなっている兵庫県の会社で、プラズマ技術の新開発に成功しています。独自の新技術は、プラズマ方式水銀フリー深紫外線面光源製品の発光強度を従来製品の4倍に大幅向上させたという画期的なもの。これにより、これまでより高いプラズマ出力が期待できます。

 

今回開発されたのは、発光材料や発光素子の内部組成といったデバイスの改良で発光効率を2倍に高めたところへ、独自の新しい駆動回路による2倍の高出力を併合した形です。従来製品の面光源に比べて4倍の高出力を実現したことで、深紫外での応用範囲が飛躍的に拡がることになりました。

 

新しい面光源は、薄型軽量で曲面にプラズマを照射することも可能です。大きな面積に対しても、ムラなく均一にプラズマ照射できます。さらに、殺菌・分解・消臭に応用できる広帯域の深紫外面光源では、標準サイズの8×6cm面光源でありながら最大750mW(15mW/cm2)まで達成可能。高い照射効率を備えた円筒内照タイプの流水殺菌モジュールに適用することで、既存の水銀ランプに代替えできる強力な殺菌・水処理能力を発揮します。

 

皮膚治療用の超狭帯域深紫外面光源は、5×5cm面光源で最大250mW(10mW/cm2)を実現。コンパクトかつ軽量なハンディタイプの皮膚治療機器として、スペースが少なめのクリニックでも治療に役立てることができるでしょう。

 

当製品の開発背景は、深紫外領域においてLED等の技術を用いても、短波長化するほどに発光効率が低下して放熱が難しいという課題があったといいます。紫外線光源の水銀フリー化が求められる中、プラズマ技術を利用すれば課題を解決できるのではないかと研究を進め、水銀フリーの高性能面光源の開発に成功したのです。

 

今回開発された新技術とサンプル品は、横浜で開催された展示会にブース出展。開発技術を搭載した新製品のサンプル販売は、既に開始されています。

参考:https://www.atpress.ne.jp/news/154888

プラズマ照射で抗酸化成分増加 名大、イチゴで実験

国内の大学では、低温プラズマで栽培したイチゴが抗酸化成分を増加したとの研究成果を報告しています。イチゴにはもともと抗酸化成分が多く含まれていますが、低温プラズマを用いて栽培をおこなったところ、抗酸化成分の一種であるアントシアニンが増加したとのこと。収穫量も増えたといい、ガンや老化予防にも期待されている抗酸化成分に活用に新たな期待が生まれました。

 

原子を作る原子核と電子が高温の環境で自由に飛び回っているのがプラズマですが、低温プラズマはこれを通常の温度で発生させているのが特徴です。低温プラズマには、化学反応を発生させやすいメリットもあります。そのため、医療や農業分野では、低温プラズマの応用研究が進んでいるのです。

 

今回の研究ではビニールハウス内でイチゴを栽培し、週に2~3回の低温プラズマ照射をおこなったといいます。収穫後の比較でわかったのは、通常の方法で栽培されたイチゴに比べてアントシアニンが25%ほど多かったということ。収穫量も20%ほど増えたことから、大きな研究成果となりました。

 

さらに、直接プラズマ照射をするのではなく、低温プラズマを照射した乳酸入りの溶液をイチゴに与えた実験でも成果がありました。プラズマを照射しなかった溶液を与えたイチゴと比較すると、プラズマを照射した溶液を与えたイチゴのほうがアントシアニン量が40~52%増えたといいます。

 

研究チームでは、イチゴを育てる環境で空気中の酸素がプラズマによって分解されたことが好結果につながったのではないかと考えています。生物の細胞にダメージを与える活性酸素が大量に発生し、イチゴがその刺激に反応したことで抗酸化成分が分泌されたのではないかということです。

参考:https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG15HCN_V10C17A6000000/

毛髪関連事業のリーディングカンパニーと家電メーカーが、頭皮を活性化するプラズマドライヤーを発売

日本を代表する毛髪関連事業のリーディングカンパニーが、大手家電メーカーとの共同開発でプラズマエネルギーを活用したドライヤーを発表しました。本製品には、頭皮を活性化するLED光とプラズマ技術が搭載されています。静電気除去や保湿効果を持つプラズマエネルギーとLED光のエネルギーが合体することで、髪にまとまりやツヤが出るというドライヤーです。

 

発売当初は限られたサロンや公式サイトでの販売が中心でしたが、現在は量販店などでも入手できる本製品。価格は37,000円(税抜)と高価ですが、従来のドライヤーとは一線を画す効果に期待できる商品として販売の拡大を目指しています。

 

今回発売されたドライヤーに搭載されているLED光は、国内の大学と12年もかけて共同開発した技術。頭皮に照射することで、毛髪の健康増進が期待できるのが特徴です。先端部分に8個の光源が付いており、効率よく髪に照射することが可能。通常のドライヤーと比べると一風変わった見た目ながら、この光源も独自の効果を発揮してくれます。

 

搭載されたLED光源の形は、中国などで民間療法として古くからおこなわれてきた、かっさにヒントを得て作られたといいます。かっさは、皮膚を刺激することで血行を改善する美容器具。日本にも普及し始めていますが、ドライヤーに応用されたのは画期的です。本製品には、人の手をモチーフに開発されたというマッサージツールも付属しています。このツールを用いると、髪を乾かしながら頭皮をマッサージできるのが特徴です。

参考:http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1709/26/news107.html

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5分でわかるプラズマ美容医療